wolchanのブログ

クラシック・ジャズ・落語を愛するおじさんのブログ

山本夏彦『恋に似たもの』

久しぶりに山本夏彦さんの

『恋に似たもの』が読みたくなり、

ネットで中古の文庫本を買いました。


もしかしたら、

今、私は、

「恋に似たもの」に

憧れを覚えているのかもしれないですね。


山本夏彦さんは、エッセイの達人だと思っています。

山本さんが、向田邦子さんのエッセイを褒めるので、

『父の詫び状』を買って読んで、

彼女のファンになりました。


「ホルモンがみなぎってあふれて、美しい人がある。

それは男にも女にもあるが、ながくは続かない。」

『恋に似たもの』のエッセイ「もと美人たち」より


私は若い時に、このエッセイを読んで、

「ホルモンによる美人」と

「そうでない美人」がいることを知った。

以来、この人は、どちらに当てはまるか?

を時々考えているような気がする。


そうそう、肝心の「恋に似たもの」の話。


「女郎は客を振る。振って振って振りぬくことがある。」

 

「廓のそとの恋はすぐ成就しない。

だから廓のなかの恋は一層成就しないようにしたのである。

それが笑止なら末流の店へあがればすぐ成就する。

けれでもそこには恋に似たものがない。

恋に似たものが恋かと言われても困る。

恋と化物は同じで、そのうわさはしきりに聞くが

実物は絶えて見ないと西洋の諺にある。

いくら振られても通いつめれば、

しまいになびくこともあることも廓のそとと同じだと

知って通うのはすぐれた文化である。社交である。」

『恋に似たもの』のエッセイ「恋に似たもの」より。

 

戦前の初等教育では、「綴方(つづりかた)」という作文を

重視していたという。

 

戦前の方々の文章が上手いのは、そのせいかもしれません。

必要最小限にして、要点を得ていて、ユーモアもある。

 


女郎が客を振る話は、落語に沢山出てくる。

なかには、「五人廻し」のように、

一晩で五人を振る女性もいる。



なんだか、そんな世界で、

私は、大人の遊びをしたいのかもしれない。

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